苫小牧研究林クラウドファンディング 特設ページ
幌内川の魚類モニタリング
苫小牧研究林を流れる幌内川にはたくさんのサケ科の魚が生息しています。
上流には、在来のサクラマス(ヤマメ)とアメマス(イワナ)のほか、北米原産のニジマスが多く棲み、中・下流にはヨーロッパ原産のブラウントラウトが中心となって生息しています。この4種を対象として、私たちは大規模・長期の個体追跡調査に挑んでいます。
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上流にある調査区域は5.32km。
ここでは、なんと4000匹ものサケ科の魚にマイクロチップを装着し
最新機器を使って1匹1匹の行動と成長を追跡しています。
これほどの規模の魚類類査は世界的にも例がなく
苫小牧研究林を代表するプロジェクトの1つといえます。
腹に小さな穴を開け、マイクロチップを挿入
毎年、春と秋には捕獲調査を行います。調査区間にすむ魚を徹底的に捕獲し、身体測定して成長を調べます。
川で魚を捕獲した後(写真左側)、トラックの荷台へと運び、マイクロチップの確認、身体測定や遺伝サンプルの採取を行う
魚類の居場所調査
月に一度は川を歩き回り、マイクロチップ探知機を振り回してそれぞれの魚がどこにいるかを調べます。
さらに、幌内川にはあちこちにマイクロチップを検知するアンテナが設置してあり
ここを通過した魚は番号(マイクロチップID)と通過時間が記録されます。
JRの改札機がICカードを探知するのと同じ仕組みです。
マイクロチップ探知機で魚を探す様子
常設型のマイクロチップ検知アンテナ
ここを通過した魚は、マイクロチップのIDと通過時間が記録される
これらの調査を長く続けることで、サケ科魚類の謎に迫ることができるはず。
魚たちは季節や自らの状態に応じて生息場所を変えたり海に降ったりしますし、成長の良い魚もいれば悪い魚もいますが、その実態は謎だらけです。
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どのような場所にどんな魚がいるの?
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どんなときに魚は生息場所を変えるの?
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成長の良い魚と悪い魚では行動がどう違うの?
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海に向かう魚は、川を降る前にどんな生活をしているの?
などなど、行動や成長に関する疑問を、膨大なデータを分析することで
明らかにすることがこのプロジェクトの大きな目的です。
さらには
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自然界で魚たちはどこまで大きくなるの?
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サケ科の魚は何歳まで生きるの?
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外来種は在来種にどんな影響を与えているの?
など素朴な疑問や保全に関わる問題にも答えていくことができるはずです。
今後のプロジェクトの進展をご期待下さい。
幌内川を代表するサケ科 サクラマス
幌内川のサケ科魚類で最も数が多い種はサクラマスです。
このサクラマス、とてもユニークな生態をしています。
本種は川で生まれた後、最低1年間は川で育ちますが、
そこから生き方が大きく2つに分かれます。
サクラマス降海型(大きな個体)と残留型(小さな個体)
1つは降海型。
降海型の個体は、1歳の春に川を降って海に出ます。
海洋を1年回遊し大型化してから、産卵のためにまた川に戻ります。
もう1つが河川残留型。
これらは海に降ることなく一生を川で暮らします。
(ヤマメとして知られています)
サクラマスの生活史
2つの対称的な生き方は古くから知られてきましたが、
生態についてはわかっていないことだらけです
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降海型が川を降る前にどんな生活をしているのか?
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川でどんな生活をしていた魚が海から戻ってきやすいのか?
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河川残留型は、川でどんな一生を送るのか?
プロジェクトを通じてこれらの疑問に答えていきます!
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幌内川の水面下
お問い合わせ
北海道大学 北方生物圏フィールド科学センター
森林圏ステーション 南管理部
苫小牧研究林
tomak(at)fsc.hokudai.ac.jp
0144-33-2171